誕生から26年、人気アニメ『機動警察パトレイバー』が、完全オリジナル新作の
実写『THE NEXT GENERATION パトレイバー』として再起動した。登場人物が、
現在を生きる“3代目の特車二課”に世代交代するなか、アニメから引き続きの
出演となるのが、整備班「シバシゲオ」役の千葉繁だ。アニメ版との橋渡し役
として大きな注目と期待を集める千葉に、『パトレイバー』への思いと声優業界のあり方について話を聞いた。
「アニメ原作の実写化は多いですけど、アニメと実写をつなぐものがないんですよね。だから僕は“パイプ役”。
アニメファンの皆さんを実写に呼び寄せる存在として、シバシゲオがいると思うんです」。
そう語るのは、全7章の短編シリーズと、来年春公開予定の長編版に及ぶパトレイバー実写化
プロジェクト『THE NEXT GENERATIONパトレイバー』で、“鬼の榊班長”に代わって整備班の
二代目班長を務めるシバシゲオこと、千葉繁。“特車二課・栄光の時代“を知る唯一の存在として、重要な位置を担っている。
もともと、アニメ版においても千葉繁自身をモデルにして生まれた「シバシゲオ」という
キャラクター。93年公開の「劇場版第二作」から21年のブランクがあっても、演技において
何も困ることはなかったという。
「だって、僕はアニメをやっている頃から、早く実写にならないかなと思っていたんです。
押井さんの中でも早いうちから構想があったみたいですけど、状況が整わなくて実現ができなかった。
だから、やっと来たか、という感覚です。今回の実写の話は3年前に聞いたんですけど、
『千葉ちゃん、やって』『うん、いいよ』と。それだけですよ」。
4月5日公開の第1章「エピソード0」では、そのシバシゲオの口から泉野明、篠原遊馬、
そして後藤隊長ら“初代”特車二課メンバーのその後が明らかにされるなど、従来からのファンに
とっては見逃せない展開になっている。その一方で、同時公開の「エピソード1」では事件も
何も起きず、怠惰な毎日を送る“三代目”特車二課の日常が描かれている。だが、これこそがパトレイバーだ、と千葉は語る。
「事件なんか起きなくていいんです。ひたすら待機して、どうやって時間潰す? っていうのが、
ある意味で『パトレイバー』らしさ。でも、僕ら整備班はその中で、しっかり技術を継承しなければならない。
かつてのシバが榊班長から怒鳴られていたように、今度はシバが班長として若い世代を怒鳴りながら、
技術と志を次の世代に継承していく。それこそが、よき伝統だと思うんですよね」。
“パイプ役”としてアニメと実写をつなぐ千葉がインタビューで繰り返したのが、この「継承」という言葉。
永井一郎氏をはじめ、訃報が相次ぐ声優界において、自身も後進に継承したいものがあるのでは? と聞くと、
「僕は“声優”になった覚えはありません」と、少し語気を強めた。
「観てくださった方が僕のことを“声優”というのはもちろん構わないんです。でも、僕は
“役者”なので映画もやるし舞台もやります。確かに、今の若い世代には、声優を目指して
業界に入ってくる人も多い。舞台の経験ありません、実写になんか出たことありません、
という人も結構います。でも、声優しかできないなんて、もったいないことだと思うんですよね」。
僕ら世代までは「根っこが役者だ」という千葉。舞台や映画などで積んだ経験が、声の仕事にも
また返ってくるとして、若い世代にはさまざまな経験を積んで欲しいと語る。
「どんな分野でも恐れず挑戦してみて、どんどん失敗してもらいたい。失敗からしか学べないですから。
ただ、今は業界として失敗を許さない現場が多くなってきている。それは不幸なことだと思うんです。
だから、若い子たちに『失敗してもいいんだ』と感じてもらえるよう、僕らがまずやってみせる。
それが一番のメッセージになるんじゃないかなって思いますね」。
千葉繁からの若手声優陣へのメッセージ。最後に、『パトレイバー』ファンへのメッセージも貰った。
「作品を作るのは最終的にはお客様。だから、今回のエピソード0、エピソード1はまだ完成していません。
完成するのは4月5日、劇場で観てくださったお客様が最後の一筆を入れてください。
アニメファンの皆さんを裏切るものにはなっていないはずです」。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140330-00030115-crankinn-movi
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